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静かで強い坐禅の心と行(2017/5/21)

 
 
 

 
 
 
 ー 春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえて涼しかりけり ー
 
 これは道元禅師さまの和歌集『笠松道詠』の一首です。ときは鎌倉時代、場所は越前の山奥の四季の風景です。当山興国寺の境内でも、毎朝ほととぎすの啼声をよく耳にして「あゝ、もうすぐ初夏なのだなあ」と感じます。
 
 この道元禅師の一首でウーンと唸るのは「冬雪さえて涼しかりけり」の箇所です。
 
 越前は豪雪地帯で有名です。京都からこの地へ移られた道元禅師は、雪と寒さにご苦労の日々を過ごされたことでしょう。まして当時の永平寺は粗末な建物で、十分な暖房設備などある筈がないのに「冬ゆきさえて涼しかりけり」には、驚きと共に道元禅師の超然たるご精神に心打たれます。人一倍寒がりの私などは到底このような心境にはなれません。これは、季節の移ろいにも、寒暖の差にも動じない強靭な精神があればこその話です。
 
 その得難い精神こそが、禅の修行によって培われたものなのです。坐禅を続けることによって、どんな環境の中にあって淡々と受け止めていく姿勢が養われていきます。
 
 坐禅によって人間が強くなる訳ではありません。かといって軟弱にもなりません。喜怒哀楽の感情に流されることもなく、損得を計算する訳でもないのです。
 
 坐禅も決して苦行ではありません。ポイントは自分の呼吸をゆっくりと静かに整えていくだけです。眠りに入る前に、布団の中で両足を揃え、両手を臍の上に置き、呼吸を静かにゆっくり、ゆっくり繰り返しているだけでも効果があります。要はそれを実行するかしないかの問題です。