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『般若心経』咒(じゅ)のお話し(2017/9/1)

 
 
 

 
 
 
 
『般若心経』というお経は、世の人々に一番知られているお経です。
 
 
 このお経は『大般若経』六百巻の精髄とされています。
 お経の咒(じゅ)という最後の咒文のような言葉だけは、まるで意味が分かりません。
 漢訳といって、中国の言葉に訳した玄奘(げんじょう)三蔵法師も、「この部分だけは、とても意味が深くて訳しようがない。むしろ原文の古代インド語のままに読むのが一番よかろう」と仰せになりました。
 
 それが「ギャテイギャテイ、ハラギャテイハラソウギャテイ、ボシイソワカ」という言葉です。
 
  ところが、人間は意味は分からなくてもよいなどと言われると、一層その意味を探りたくなります。私もその中の一人です。
 
 そこで色々と探ってみると、こんな意味の言葉でした。
 
 「往(ゆ)こうよ往こうよ、彼の悟り岸に往こうよ、皆な共に往こうよ、悟りに栄光あれ」というほどの意味です。
 
 煩悩に満ちたこの岸から、悟りによって静かな悟りの岸に渡るには、一人の力ではどうにもなりません。
 大きな船に乗り、信頼できる船頭にすべてを任せて、大勢の人々と共に進んでいく中にいつしか、悟りの岸に辿りついているという教えです。
 
 因みに私たちは曹洞宗丸という大きな船に乗って道元禅師、瑩山禅師というお二人の船頭にすべてを托して迷いがありません。それが信仰というものです。
 
 一人の人間が、修行を重ね、勉強にいそしみ、遂に悟りを得るなどは容易でありません。
 大乘という大きな乗りものに、大勢の人と共に乗って時を過ごしていくなら、何とかこの辛く苦しい世の中も、ヤレヤレという安らぎの悟りの岸にたどり着けるのだと思います。